まさかと思ってはいたが、本当にメダルが取れるとは思ってなかった。日本時間8月10日未明行われた世界陸上ヘルシンキ2005の400メートルハードル決勝で為末大選手が48.10のタイムで銅メダルを獲得したという。
スタートが4時ぐらいだったので起きていられず、朝起きて快挙を知った。会社に行ったあと、家に帰ってきてから録画中継を見て、涙。さらに表彰式での表情を見てさらに涙した。インタビューとかを聞いていて、彼の「侍魂」には胸を打たれる。詳細はこちらのハイライトを見てほしい。
自分自身が結構スポーツオタクな自信はあるが、彼の記憶は鮮明だ。2001年エドモントンでの銅メダルは日本陸上短距離界初となる銅メダルを獲得。2003年には所属する大阪ガスを退社にプロの陸上選手に。退路を断つことで自分を高めようとした、という。
昨年のオリンピックでも僕は非常に注目していたが、準決勝で突然の突風が彼を襲った。体が小さく、体重の軽い為末にとって、風によってリズムを崩されたのはまさしく不運。決勝進出にはならなかった。
もう27歳になるが、彼はあきらめなかった。今回の世界陸上ではタイム差によりギリギリで決勝進出を果たす。これだけでも快挙であることは間違いないが、決勝レース前の豪雨が彼の気持ちを逆に落ち着かせた、という。
レースでは普段の為末らしい果敢に攻めるスタイルを貫いた。レース後のインタビューで「自分ひとりの力だったらここまでこれなかった」と語ったように、直線の粘りは神懸ったものだった。2人に交わされたものの、最後に飛び込んで4位と0.08差のタイムで2度目となる銅メダルを獲得したのだ。亡き父へささげたメダル、次は自分のためにメダルを獲得する番である。
為末選手は陸上界でも挑戦者として知られる。今シーズンでは、長距離選手がよく行っていた高地トレーニングを短距離選手として始めて導入、心肺能力を高めた。またレース前も日本で調整する選手が多い中、海外を1ヵ月半も転戦してリズムをつかむという調整方法を実践していた。正攻法で勝てないのであれば、知恵を働かすしかない。「本番に弱い」といわれる日本人選手も彼を見習って、さまざまな試みに挑戦してほしいと思う。
しかし、久々にレースを見て涙したかもしれない。2007年、次の世界陸上は日本の大阪で行われる。為末大の今後に期待したい。