久々に歴史小説に手を出してみて読んでみた。
「信長と信忠」という信長を父としての視点から書いた新しい作品。
歴史小説は結構読んできたけど、やっぱり信長にかかわるものが一番面白い。ボクは信長に関しては「井沢史観」が一番あっていると思うんだけど、いろいろな考え方があってそれを吟味するのも面白かったりする。歴史小説って結局、世に知られたエピソードから、日常の人間関係か何かを考察して組み立てて行くんだけど、今回の作品は「父」として信長がどう息子たちに接したかを説く。
特に考察のところで面白かったのは、「有能すぎる息子は父にとって敵になり得る」という思考。確かに信玄は父を追放したし、もしかしたら信康の切腹はそれに関連したのかもしれない。
だからこそ、信忠という「信長の息子」という目立っていい武将のはずが、歴史からはあまりスポットライトが当たっていないのは、信忠自身があえて野心を出さずに振舞っていたことも考えられる。そういう視点からこの小説はかかれててそれ面白い。ただ、当然歴史自称の断片を組み合わせていくだけなので、物語としては薄い、そこが残念。
ボク自身は信忠という武将の評価はそこまで高くない。というのも本能寺の変の時に、父が襲われたと知ったのにも関わらず、安土に戻るという選択を取らなかった、という人生最大の失策を犯しているからだ。妙覚寺に立てこもった信忠はあっけなく首を取られ、結果として信長父子がこの光秀の反乱によって討ち取られてしまった、
信長であれば、真っ先に逃げ出したはずだ。それは総大将が生きていれば軍は立て直せると言うことを彼が知っているからだ。信長がなくなっても、信忠を中心として織田軍を立て直せば、光秀を討ち取ることは可能だったと思う。少なくとも安土に篭城すれば、援軍までは持ちこたえただろう。
だからこそ、この選択こそが最大の失敗だった。だから評価は高くない、というわけ。
ただ、本を読んで思ったのは、例えば信長は信忠が愚将だったらもっと早くに切られていた可能性もあると思う。だとすれば、後継者として少なくとも本能寺の変の前までは総大将であった信忠の将の器と言うのもやはりそれなりにあったというのが妥当な評価なのかもしれない。、
うーん、なかなか面白い小説だった。
