ボクは本は結構読むほうだと自負しているんだけども、なかなか自分の考えが180度変わるような衝撃を受ける本は少ない。しかし、この本は確実に自分の考えを変えてくれたと思う。変えてくれたというと語弊があるかもしれないけど、少なくともこの本を読む前と後で「アメリカ」という大国に対して抱いていた印象が変わった。
町山 智浩
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本の名前は「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」。いささか過剰なタイトルに見えるかもしれないけど、これが事実であることは書いてあるのはもちろん、それ以外にも日本にいては誰も報じないアメリカの事実がこの本には書かれている。
筆者の町山智浩さんはアメリカ・ベイエリア在住のコラムニストで、映画評論活動などもしているといえばいいのか。特にサイゾーで書いているので知っている人もいると思う。友達に本の話をしたら、「サイゾーで書いてる人でしょ」って蔑まれた言い方をされたけどもとんでもない。まずは本を読んでみることを進めたい。
肝心の内容はというと、アメリカ=アメリカンドリームのイメージで派手な印象がある人が多いかもしれないけども、実態はひどいということ。要するに他民族国家で差別も激しい。貧富の差も激しいし、何よりスキャンダラスな内容が多い。彼はブッシュについては、非常に辛らつな内容で、イラク攻撃に対しても、ブッシュを再選させたのは、アメリカ国民の無知だという。
とにかく、アメリカの場合貧富の差が激しく、まともな教育すら受けられていない国民が多い。だからこそ、メディアコントロールに流されるし、感情的に動く。これを読むと、日本における貧富の差なんて、つきとすっぽんぐらいの違いがある。だって、日本の場合は最低限中学までの義務教育で一定水準の教育は保障されているし、努力次第で身分の差を乗り越えることは可能だ。だが、アメリカの場合、教育が行き届いてないから、その教育の下地すらないから、実質上片田舎の貧民層というところから、アメリカンドリームを使うことは不可能になっている。医療についても、アメリカは国民皆保険制度でないから、(ある程度の)金持ちしか保険に入れないし、保険に入っていたとしても、保険会社は保険を払わないと国から補助金が出る制度のため、保険に入っていたとしても保険金が出なかったり、何より手術すら受けさせてもらえないらしい。そして、保険に入っていない人の末路は言うまでもない。
悲劇的だったのは、ウォルマートの話かな。ウォルマートは激安で売っているのは知っている人が多いと思うけども、ウォルマートが来ると、その安さ攻勢で、その地域の店がつぶれるらしい。そして、つぶれると、当然仕事がなくなるから、その人はどうすれば良いかというと、結局ウォルマートで働くしかなくなる。そして、そのウォルマートの賃金が激安(年間200万程度)とのことだ。生活保護なんてあってないような国だから、生きるためには働くしかないという衝撃的な話。日本でもイオンという大型スーパーマーケットが爆撃のように勢力を拡大し、同じように地域の店がどんどん不況も相まってつぶれている現実もある。日本がアメリカと違うのは、日本では年金制度であるとかそういう制度が(今は)整っていること。これを恵まれたと言わずしてなんというか。僕らの将来は、その年金すらどうなるか分からない世の中で、もしかしたら、アメリカのウォルマートの従業員のように、最低賃金で働かざるを得ない状況になるのかもしれない。繰り返すけど、今の日本は恵まれすぎというのは自覚すべきだと思う。
宗教についても激しいけど、ここで書けることじゃないかな・・・。
面白かったのは、アメリカにおける右翼とか左翼とか言う部分かな。アメリカは当然自由の国であるから、共産主義とか社会主義とかは徹底的に排除されている。だからこそ、日本における左右とはまったく違う。要するアメリカにおける左と右は自由と平等のバランスということになる。だからどっちが転んでもアメリカは転ぶからこそ両者のバランスを上手く立たせることが何より大事だし、逆に日本のように野党と呼ばれる党がほぼ日本に党ではないような売国発言をすることはない。内政に対しては自由と平等のバランスで対立があるかもしれないが、外に対しては愛国アメリカというのは一致している。だからこそ、アメリカ国民は国旗が大好きだ。アメリカ国民は単純にアメリカという国に誇りを持っているし、底に関しては、本当にうらやましく思う。
それにしても、アメリカの場合は、テレビ局とか新聞社が「何党支持」っていうスタンスを打ち出した上で議論するから面白いよね。日本の場合は、すべての局が横並びで、スタンスすら明確にしない(ってか中立を装っているという部分が一番性質が悪い)。別に外国人参政権の問題とか、死刑の問題とか、大きく支持か不支持か、大きく主張を出して議論しあえばいい。国家という概念すら分かってない人が野党第一党の党首として発言しても、テレビも新聞も何も突っ込まない今の状況っておかしいだろ
まぁともかくアメリカの話。こういうコラムがどんどん日本にも入ってきて欲しいと思うんだけどね・・・別にアメリカに限らずヨーロッパとかでもいい。少し過激に感じる現実であっても、もっともっと知りたいと思う。日本の話しかしないと、日本しか分からなくなる。それはもったいないでしょ。
良書でした。頭からガツンと衝撃を味わいたかったらこの本はお勧め。